金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2008
実施報告
大人のおかねセミナー 知るぽると金融教育教室
消費者教育の現状と課題 ~推進の鍵は何か~
開催場所:東セミナールーム 定員90名(各50分)
開催時刻:17:30~18:20
対 象:大人向け
講 師:内閣府 消費者企画課
課長補佐 山崎 速人 氏
レジュメ(PDF 1,051KB)
消費者被害(安全面・取引面)が依然として減少しない状況を踏まえ、その対応策の1つとしての消費者教育を今後いかに推進すべきかを考えます。消費者教育の根拠は、平成16年に出来た消費者基本法です。
第17条で、国は消費者の自立を支援するため、知識の普及や情報の提供を行う必要があるとしています。地方公共団体も同じで、学校や社会教育施設で推進します。内閣府と文部科学省の協力、消費生活センターと学校の連携、体系化、基盤整備、出前講座などを実施しています。
具体的には、昨年の消費者政策部会で3点の課題―(1)ライフステージ別の課題、(2)消費者教育の手段や基盤の整備、(3)消費者教育における各主体の取組みとコーディネート機能の強化―を挙げて取組んでいます。推進する上で必要なものは、講師など担い手の確保、情報の集約と発信、質の高い教材の整備です。推進するうえでの体系化は、対象を幼児期、児童期(小学生)、少年期(中・高校生)、成人期(高齢期を含む)の年代別に分けます。そこに安全、契約や取引、情報、環境の4つの領域別教育を組み込んで行います。また、担い手の育成も重要です。中心となる消費生活相談員は全国に約3,000人ほどしかいないため、もっと身近に相談することのできる「市民講師」の養成を検討しています。
その他、内閣府では、消費生活相談員が講師となり、比較的年配の方を対象に、悪質商法に遭わないための出前講座を年間1,600回ほど開くほか、メールマガジンで悪質商法の情報を届ける「見守り新鮮情報」を民生委員や介護ヘルパーを対象に発信しており、登録数は17,000件に達しています。その他、ポータルサイトの開設や、関係省庁間の連携、文科省への学習指導要領改定への働きかけ等を行っています。
以上が内閣府の取組みですが、消費者教育は、ややもすると教育「する」側が何をするかという点に重点が置かれがちですが、教育を「受ける」側が、積極的に「受けたい」と思っていただくことがないと、充分な効果も上がらないという面もあります。自ら進んで悪質商法の手口を学んだり(もちろん「被害者にならないようにするため」ですが)、危険性のある製品の使用に当たり説明書をよく読んだり、食品の表示について勉強したり、ということを日々の暮らしの中で少しずつ行っていくことが極めて重要です。しかもそれらはほんのわずかな時間でできることです。
もちろん、「起きてしまった」あとの仕組みとしては、製造物責任法やクーリング・オフ、等の仕組みも用意されてはいます。しかし、一定の手続を踏む必要があったり、仕組みを使っても必ずしも100%元に戻るわけではないという面もあります。
消費者が様々な被害に遭うのを防止する、それが行政に与えられた役割であることは言うまでもなく、今後とも様々な策を講じていくべきことが重要であることは当然ですが、それと同時に消費者は消費者で、「自分で自分の身を守る」という意識を強く持つこと、これこそが、今後ますます複雑化する消費者をめぐる状況に対応していくために、必要なことであると思います。