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先生のための金融教育セミナー

2019年度 先生のための金融教育セミナー(8月・東京)

【小学校・中学校向け】

3.分科会(金融教育の事例紹介とワークショップ)

小学校分科会1

進行・コメント
総合初等教育研究所 参与 北 俊夫 氏
実践発表およびワークショップ(1)

「見えないお金について考えよう〜インターネット社会に生きる子どもたち〜」
(6年 学級活動)
兵庫県神戸市立宮本小学校 森田 大志 教諭/勝 翔太 教諭

実践発表

本校では6年生の取り組みとして、「見えないお金について考えよう〜インターネット社会に生きる子どもたち〜」のテーマで、目に見えないお金(携帯電話の料金、電子マネー、インターネット上の売買など)について考えました。

本校は神戸市という都会にあり、ショッピングモール、映画館、ゲームセンターなど、お金を使って遊べる施設が充実しています。生徒の携帯電話やスマートフォンの所持率が高く、5〜6年生は75%の所持率です。子どもたちはLINEなどの無料通信アプリやゲームを利用しており、その利用時間も長くなっています。アプリ内のスタンプやアイテムを求めて課金するケースも少なからず確認されました。そのため本校では、金融教育を通して、これからの情報社会で生き抜いていく術と、正しい情報モラルを身につけさせたいと考えました。

5~6年生にアンケートを行ったところ、1.子どもたちは携帯電話やスマートフォンの利用料金を把握していないこと、2.実際の利用料金は携帯電話で1,000~1,500円、スマートフォンで4,000~5,000円であること、3.利用時間は、ほとんど使わない子どももいるが、毎日1~2時間の子どもが多いこと、4.使い道は電話や動画、ゲームなどが多いことなどがわかりました。スマートフォンやインターネットの使用においてはトラブルが起こることもあります。「夜中までスマホを使ったことで遅刻や授業中に居眠りをするようになった」、「ゲームの課金が最初は500円くらいだったのに最終的には1万円を超えていた」、「不正アプリやウイルスにより知らないうちに個人情報が漏洩した」という3つの事例を基にトラブルへの対処法、防止法を話し合い、自分ならどうするかを考えさせました。また、子どもたちに楽しみながら見えないお金について学んでもらうため、「見えないお金すごろく」をオリジナルで作りました。具体的な内容をこの後のワークショップの中でご紹介します。

ワークショップ

参加者の先生方に、「見えないお金すごろく(ICカード編)」と「見えないお金すごろく(スマホ決済編)」を体験していただきました。ICカード編は、6年生が、交通費と飲食代としてICカードに2,000円チャージしてもらう設定のすごろくです。最後にお金がいくら残ったかを発表し合いました。スマホ決済編は、誕生日に買ってもらったスマートフォンでオンラインゲームや無料通信アプリを始めるという設定です。止まったマスに書いてあるものを買うか買わないか選択します。最後に買うと決めたものの合計金額を発表し合いました。

すごろくの後、KJ法を使って、「見えないお金」を子どもたちに伝えるポイントを話し合っていただきました。参加者からは、「『見えないお金』は便利だが、お金をいくら使ったのか子どもたちには把握しにくい部分が怖い」、「手軽に何でも買えるような万能感を持ってしまいがち。金銭の重みを感じにくくなる危険性がある」、「便利になって人間が頭を使わなくて済むようになってきている。見えないお金には、便利さと頭を使わなくなる怖さの両方の面がある」といった感想が聞かれました。

コメント

北俊夫先生より、次のようなコメントがありました。

「お金が見えない形での消費」に焦点をあてた発表でした。今、学校では、インターネットの正しい使い方といった情報教育や消費者教育が課せられていますが、そうした課題と金融教育を関連づけた取り組みでした。特に前半部分は、6年生の学級活動の時間を使って、インターネットや携帯電話と、これまで小学校では遅れていた部分を先進的に取り上げておられました。社会はどんどん変化していきます。子どもの生活は私たちが考えているより進んでいるかもしれません。

『金融教育プログラム』の金融教育の4つの分野に、「消費生活・金融トラブル防止に関する分野」があります。この実践はそのうちの「インターネット、携帯電話による小学生のトラブル事例を学び、予防の仕方を理解し、適切に行動する態度を身につける」を踏まえたものでした。インターネットや携帯電話は、ややもすると利便性だけに目がいきがちですが、メリットとデメリット、課題と利便性、といった二つの視点で捉えるべきであり、子どもたちに多面的に物事を見る力を育てることが大切だと思います。

現行の学習指導要領でも、「見えないお金」について触れられている部分はあるのですが、意識されているでしょうか。例えば、4年生の飲料水、電気、ガスというところです。使った分のお金は口座振替や振込などで支払われていますが、これらは子どもたちにとって見えないお金です。給食にかかるお金も同様です。学校によっては自転車保険への加入を勧めているところもあります。子どもたちもお金が見えない中で生活しています。そうしたことに気づかせて、教育課程に位置づけた取り組みと併せて日常の学校生活でもお金について話題にするような取り組みが大事だと思います。

小学校分科会1の模様①

実践発表およびワークショップ(2)

「わたしたちの生活と工業生産 自動車をつくる工業」(5年 社会科)
静岡県磐田市立青城小学校 寺田 龍太郎 教諭

実践発表

本校では、静岡県金融広報委員会から金融教育研究校の委嘱を受け、金融教育に関わる内容を単元に取り入れた授業づくりに取り組んできました。今日は社会科の工業の単元で行った実践を発表します。

本校の生徒は、素直に取り組み、友だちと関わりながら学ぶ姿勢が身についている一方で、主体性の面で課題も見受けられます。子どもたちにとって、身近で関心の高い道具であるお金を授業で効果的に扱い、研究を深めることができれば、「主体的に考え、表現する子」の実現に結びつくと考えました。静岡県は、スズキ自動車、ヤマハ発動機、河合楽器など、工業が盛んです。世界に自慢できる静岡県の工業のすごさを子どもたちに知ってほしいと思い、工業について授業研究を図りました。

金融教育を具体的に単元に取り入れるため、『金融教育プログラム』にある「金融教育の4つの分野と重要概念の図」を参考に、単元に合った目標を選びました。単元計画をつくっていくと、工業の学習内容と金融教育の目標がほとんど同じであることに気づきました。工業生産に関わる人たちの工夫や努力、生産や輸送にかかる費用、現地生産が行われる理由、環境にやさしい工業製品づくりなど、工業の学習内容は金融教育そのものでした。

スズキ自動車の組み立て工場で社会科見学を行い、「工場で働く人は、どんな工夫や努力をしているのだろうか」という課題を設定しました。さらに「誰のため、何のために工夫や努力をしているのか」、「工夫や努力をするとどんないいことがあるのだろうか」と子どもたちに問いかけました。企業は、働く人やお客さんのためだけに努力をしているのではなく、利益を追求し、生産を継続するために努力していることに気づかせたかったからです。子どもたちからは、「新しい車を開発する費用を稼ぐことができる」、「給料が上がる」、「さらに働きたくなる」といった深い考えも聞かれました。

教科の目標や内容に金融教育を取り入れたことで、本校の研究テーマである「主体的に考え表現する子」に迫ることができたと思います。また、金融教育の目標と工業の内容を重複させることで、工業の内容をより深く理解することができたほか、物の値段や仕事について意識して授業に取り組むことで子どもたちのお金に対する意識や学習に取り組む態度が向上したと考えています。

ワークショップ

ワークショップでは、「あたたかい土地のくらし─沖縄島─」、「米づくりのさかんな地域」、「水産業のさかんな地域」といった年間指導計画作成用資料(東京書籍『新編 新しい社会』)を比較して、金融教育を取り入れることができる部分を選択し、金融教育の内容を取り入れた時の利点や課題をグループで考えていただきました。

グループからは、「沖縄の気候を生かした産業を取り上げたいと考えたが、生産者の苦労が見えすぎてしまうと、働きたいという気持ちが減ってしまうかもしれない点が課題」、「水産業を取り上げた場合、金融教育と関わる部分が多く、たとえばセリを疑似体験させて値段の決まり方を学ぶなど、あえて大きなことをしなくても進めていくことができるのではないかと思った」などのコメントが聞かれました。

コメント

北俊夫先生より、次のようなコメントがありました。

寺田先生の発表は、社会科の5年生の工業の単元に金融教育の視点を位置づけた授業でした。工場で働く人たちは、どのような工夫や努力をしているのかというどの教科書にもある内容を設定されています。ところが多くの学校と違うところは、企業が利益を追求し、生産を継続させるために努力していることを気づかせようとした点です。今までの工業の単元での授業は、費用と価格というキーワードで行われてきましたが、そこからさらに利益を追求するという金融教育の視点を位置づけました。今回の事例は、一歩も二歩も先に進んだ実践ではないかと思います。

今回の実践は社会科ですが、先生方は、さまざまな教科で金融教育ができないかと考えておられると思います。内容面において、金融教育と深く関わる教科は社会科と家庭科、道徳などだと思います。学習活動面で言えば、学級活動、生活科なども金融教育と関わっています。特別支援学級における生活単元学習も活動という側面で位置づけることができます。さらに申し上げたいのは、教材面での活用です。例えば国語科。お金に関する題材を活用しながら、読み、書き、話す力をつけられないでしょうか。あるいは算数。利息の計算などお金に関する材料を活用する可能性はないでしょうか。また、英語科でも買い物について表現する時に、金融教育を絡められないでしょうか。

金融教育を進める際、子どものお金に関する知識の実態を把握します。そこから、課題を見つけ、『学校における金融教育の年齢層別目標』を活用して、課題解決に取り組んでいただきたいと思います。そして、教科に金融教育を取り入れた時の評価はその教科の指導目標に基づいて行うことです。金融教育の評価は、1年間を通して子どもの姿がどう変わったかを見ていただきたいと思います。金融教育はさまざまな教科で行われます。それによってトータルとして、子どもがどう成長したのか、学校評価の観点から長期的な視点で見ていくことが大事ではないかと思います。

小学校分科会1の模様②

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