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先生のための金融教育セミナー

2019年度 先生のための金融教育セミナー(8月・東京)

【小学校・中学校向け】

3.分科会(金融教育の事例紹介とワークショップ)

中学校分科会1

進行・コメント
教職員支援機構 次世代教育推進センター 大杉 昭英 センター長
実践発表およびワークショップ(1)

「金融商品のリスクとベネフィットを考えよう」(3年 社会科公民的分野)
広島城北中・高等学校 水野 聖 教諭

実践発表

中学校3年生の社会科公民的分野において、「金融商品のリスクとベネフィットを考えよう」という実践を行いました。授業全体では6時間をかけて「会社とは」、「株価の変動」、「借金をする」、「投資と投機」、「直接金融と間接金融」、「金融のまとめ」の順に金融を広く学び、預金から借金まで多くの金融商品を取り上げました。とくに、「株価の変動」、「投資と投機」、「直接金融と間接金融」の授業において、金融商品のリスクとベネフィットを生徒に具体的に体験し、考えてもらうようにしました。楽しく学びながら投資と投機の違いを知ることを主なねらいとしました。

「会社とは」では、株式会社とはどういうものか、無限責任と有限責任の違いなどを理解してもらいました。「株価の変動」を扱った際には、生徒に複数の会社の株価のグラフ(チャート)を見せて、会社名を当てててもらうクイズを出しました。株価の上昇期が中学生にも人気のゲームや映画の大ヒット時期に重なるため、生徒は会社名を当てることができました。「投資と投機」においては、生徒に架空の会社の株式を模擬売買するゲームを行ってもらい、投資と投機の違いについて実感してもらいました。また、預金は安全だがあまり増えない、株式はリターンが期待できるけれどもリスクも大きい、というように金融商品にはリスクとベネフィットが存在すること、金融商品の選択は「自己責任」で行わなければならないこと、だからこそ投資と投機の違いを見極めてほしいことなどを伝えました。「借金をする」では、住宅ローンや自動車ローン、銀行、カード会社、消費者金融などの金利を調べ、返済シミュレーションを行いました。「直接金融と間接金融」では、生徒が自主制作した映画を映画館で上映してもらうための方策を考えてもらうこと~本校では「シネマ・アクティブ・ラーニング」と呼んでいます~を通じて、お金を調達するにはどうすれば良いのか、直接金融と間接金融にはどのような違いがあるのかなどについて理解を深めてもらいました。

ワークショップ

ワークショップでは、生徒が「投資と投機」の授業で行った株式売買ゲームを、参加者の先生方に体験していただきました。テレビの某人気ドラマに似た「ある会社」(架空の会社)のプロフィールを水野先生が紹介したうえで、グループに分かれて各グループが自己資金100万円を使ってその会社の株式を模擬売買しました。売買の開始に際し、水野先生から、「最終的に利益を出すことを目指してください」との説明のあと、「この会社を応援するつもりで、『投機ではなく投資を行う』ことを心がけてください」との注意がありました。

グループごとに売買を開始すると、サプライズとなるニュースが飛び出すたびに株価が大きく変動するのにつられ、各グループとも次の値動きを当てようとしながら激しい売買を繰り返し、会場は熱気に包まれました。全取引が終了したところで、水野先生から「投機ではなく投資を行えましたか?」との質問があり、各グループともいつの間にか投機を行っていたことに気づかされました。参加者からは、「投資を行うためには、常にそう心がけておかなければならないことがわかった」との感想が多く聞かれました。

水野先生は、最後に、映画『この世界の片隅に』の一部を映写しながら、この作品の映画化のために金銭的な見返りのない資金をクラウドファンディングで提供した2千人の氏名がエンドロールに記されていることを紹介し、「お金が儲からなくても行う投資もあります」と結ばれました。

コメント

大杉昭英先生より、次のようなコメントがありました。

普段、ゲームに熱中している生徒が、株価チャートを見てその会社名を当てることができた、という水野先生のお話を聞いて、今、学校教育で求められている「生きる力」、OECDの「キー・コンピテンシー」にある「読解力」に近いものがあると思いました。自分の持っている知識と生活経験を、いろいろなものと結びつけて判断できる力のことです。

インサイダー取引に関する部分では、私たちの経済活動は「公正さ」が保たれる中で初めて自由競争になることを教えた、と説明されていました。大前提を教えることは素晴らしいことです。「アンフェアなことはダメだ」ということは、学校の授業で学ぶべきことです。

また、水野先生は、授業の最後で「これは投資ですか、投機ですか」と問いかけています。このように自分の体験や活動についてもう一度自分の目で問い直すという「モニタリング」、「振り返り」を行うことは非常に重要です。この「投資と投機」の実践では、授業の中でこれらをしっかりと行うことができています。

知識を実生活にどう活かすことができるかが問われるようになっている中、この実践はそのような能力を養うことができるものといえます。

中学校分科会1の模様①

実践発表およびワークショップ(2)

「模擬会社をつくり『ふるさと八峰』に貢献しよう」(3年 総合的な学習の時間)
秋田県八峰町立八峰中学校 袴田 誠 教諭

実践発表

中学校3年生の総合的な学習の時間において、「模擬会社をつくり『ふるさと八峰』に貢献しよう」の実践を行いました。

八森中学校と峰浜中学校が統合して八峰中学校ができました。統合前の両校のキャリア教育の内容を踏まえながら、新しいプログラムを作ることが必要になりました。そこで、まず、教員の間で、少子化に伴い学校の小規模化が進む中で「キャリア教育として学校でできること、やった方が良いことは何か」について議論しました。その結果、八峰町の人口減少対策となり得る「起業」を取り上げることにしました。そして、学校、役場、商工会、JA、観光協会、地域住民などでプロジェクトチームを作り、「生徒の生きる力、ふるさとを愛し、貢献しようとする心を育む」ことを目指して八峰中学校型の起業家教育を進めてきました。持続可能で伝統として引き継ぐことができること、地域とのつながりや結び付きを強めることも重視しました。

具体的には、夏休みや冬休みのボランティア活動、環境保全活動、地域の祭りへの参加、特産品販売学習などを行いました。とくに力を入れたのが八峰町「んめものまつり」への出品です。生徒が話し合って模擬会社4社を作り、地元素材を使い、ネーミングにも工夫を凝らした食品を考えました。さつまいものスイーツ「中学いも ぽてとん」、秋田こまちを使った「八宝ハッピーむすび」などです。小学校との連携の一環として、素材には小学校で栽培した米やさつまいもを模擬会社で買い上げて使用しました。製造は地元の会社に委託しました。どの商品も「んめものまつり」では好評で、完売しました。

生徒からは、「自慢のできる商品は、自慢のできるふるさとから生まれる」、「八峰町に貢献したい」といった感想が聞かれました。また、活動前に比べて「将来、八峰町に住みたい」と思う生徒の比率が高まるなど、着実な成果がありました。

ワークショップ

ワークショップでは、八峰中の実践を参考としながら、各グループがそれぞれ「ふるさとを愛し、貢献する心を育てるにはどのような活動が効果的か」、「持続可能な活動にするには何が必要か」について検討・意見交換したうえで、グループの代表者が発表しました。

発表においては、八峰中の実践に対して「生徒の自己肯定感を高める取り組みが成果につながっている」などと高く評価する声が多く聞かれました。また、八峰中と自校(参加者の勤務校)が置かれている環境の違い(地域や企業の協力をどの程度得られるかなど)を踏まえ、自校に取り入れることができる部分とそうでない部分を整理した発表もみられました。さらに「自校ではこのような実践にしたい」と具体的な案を提示する発表者もありました。

コメント

大杉昭英先生より、次のようなコメントがありました。

八峰中学校の実践は、米国ほか諸外国で行われている「サービス・ラーニング」に似ていると感じました。「サービス・ラーニング」とは、子どもたちが学校で学んだことを地域に還元していく活動です。「生きる力」という言葉は抽象的であるといわれることがありますが、OECDの「キー・コンピテンシー」とほぼ同じものと言えます。その本質は「自ら行動して、皆と協力しながら学んだ知識と技能を使う」ということにあります。諸外国では「サ-ビス・ラーニング」の授業などでこの「キー・コンピテンシー」が養われているようです。学んだことを自分の生活や生き方に役立てることを目的とすることは、「社会に開かれた」教育活動ともいえます。

また、この実践は、人生の成功を左右するといわれる「最後までやり抜く力」を身につけるうえでも有効です。会社を作り、いろいろな活動を通して物事を動かしていくときに、他の人と共同でトラブルを解決していくことが必要になります。「やり抜く力」、「忍耐力」、「協調性」、「寛容」、「コミュニケーション」などが必要になります。生徒は自分たちで考え、起業し、商品を販売するまでやり抜きました。「やり抜いた」という経験や記憶は、大人になってからも「自分ならできる」と確信できることに結びつき、良い影響を与えるものです。

中学校分科会1の模様②

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