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先生のための金融教育セミナー

2019年度 先生のための金融教育セミナー(8月・東京)

【高等学校向け】

3.分科会(金融教育の事例紹介とワークショップ)

高等学校分科会3

進行・コメント
文部科学省初等中等教育局 青木 隆一 視学官
実践発表およびワークショップ(1)

「特別支援学校での生涯学習とお金の話〜卒業後の自立と社会参加のために〜」
(特別支援学校)
東京都立南大沢学園 堀内 省剛 校長

実践発表

本日は、本校及び前任校で行った生涯教育とお金の教育についてお話しさせていただきます。本校は、生徒のQOL(生活の質)の向上と、特別支援教育の専門性において、全国トップレベルの学校を目指しています。QOLの向上を達成するには、在学中の教育の充実(特別支援教育)に加えて、卒業後の学びの充実(生涯学習)が必要と考えています。

今年3月に文部科学省から、「障害者の生涯学習の推進方策」が出されました。この報告のアンケートで、移行期(18〜24歳)の当事者の学習ニーズが浮き彫りになりました。一番多かったのは、「社会生活に必要な知識・スキル(自立した生活のための学習)」で34.6%でした。3年間の学習ではこれらをすべてカバーすることができません。そこで本校では、卒業生を対象にした「継続教育」を行っています。

事例をご紹介します。昨年度、私が本校に着任してから準備を始め、今年度から継続教育を始めました。授業は平日、卒業生の仕事帰りの夕方(隔月の最終金曜日)18時からに設定しました。第1回のテーマは、「社会人1年生のための人生を助けるお金のしくみ」として、社会保険労務士の方を講師に招いてお金の話をしていただきました。内容は、生徒がもらった給与明細の見方と、社会保険加入の意義についてです。参加した卒業生からは「健康保険が本当に大切ということが分かりました」、「給与明細をしっかり見ることの大切さが分かりました」、「家計簿をつけた方が良いということが分かりました」などの声が上がりました。

今後の課題としては、学校を卒業して就職した時期だからこそ、実感を伴って学ぶことができる内容を精選していく必要があると考えています。継続教育をいつまで行うのかという課題もあります。前任校では、3年間のプログラムを組んで継続教育を実施しましたが、引き続きニーズがあったため、4年目も行っています。また、一番大事なことは、在学中に行う教育に、継続教育で得たことをフィードバックしていくことだと考えています。

ワークショップ

まず参加者の先生方に、「社会人として直面するお金の問題」を卒業生の事例などを基に挙げていただきました。さらに、「社会人としてお金に関して学ぶべき事柄」、「在学中に指導すべき内容」について議論していただきました。参加者からは、「公的年金制度や、悪質商法にひっかかってしまった場合の対処法などの知識を身に付けさせることが必要」、「スマートフォンのアプリなどを活用して在学中から家計簿をつける練習をして、お金の流れを把握できるようにしておく」などの意見が出されました。堀内先生からは、「保護者と連携したり、保護者向けの学習会を開催したりするなどの対応も重要だと考えている。また、電子マネーなどの見えないお金についての指導も大きな課題です」とのコメントがありました。

コメント

青木隆一先生より、次のようなコメントがありました。

平成29年4月に、当時の松野文部科学大臣が、「教育、スポーツ、福祉、労働を連動させながら、障害のある子どもたちが一生涯にわたって学び続けていける体制を整えよう」という「特別支援教育の生涯学習化」というメッセージを出しました。そして、文部科学省では「障害者学習支援推進室」を設置し、様々な施策を展開してきています。本日の堀内先生の実践発表を参考に、「生涯学習」、「継続教育」の観点も踏まえて、自分の学校ではどういう金融教育を展開できるかを検討していただければと思います。

金融教育はそれ自体が目的ではなく、金融教育を通して、子どもたちの自立と社会参加に必要となる資質・能力を育んでいくものです。そしてどのように育んでいくのかを検討することこそ、新学習指導要領でも示されているカリキュラム・マネジメントということになります。
各学校の教育課程編成の基準となるものが学習指導要領です。今年2月に新特別支援学校高等部学習指導要領が公示されましたが、金融教育に関連する内容は家庭科に示されています。家庭科の内容のうち、Aが家族・家庭生活、Bが衣食住の生活、Cが消費生活・環境となっています。現行の学習指導要領にはここまで書かれていません。改めて学習指導要領をお読みいただき、具体的に子どもたちにどのような力を身に付けさせたいのかを先生方で共有していただければと思います。

高等学校分科会3の模様①

実践発表およびワークショップ(2)

「金融教育の“ユニバーサルデザイン”を追求した授業実践」
(1年 現代社会、3年 政治・経済)
東京都立蒲田高等学校 浅川 貴広 主任教諭

実践発表

本校は東京都大田区にあるエンカレッジスクールで、生徒の学び直し、基礎学力の定着を支援する学校です。本校が抱える課題としては、学習に取り組む生活環境が整わない生徒が少なくないこと、高校入学時までの社会的な経験が不足していたり、中・長期的な視野に立つことが苦手な生徒が多いことなどがあります。こうした中で、学びのユニバーサルデザインが必要だと考えました。簡単に言えば、「すべての学習者に対する学びの実現をめざしたカリキュラム」です。本日は、私が本校で担当した「資産形成シミュレーション」と「お店屋さんごっこ」の2つの実践をご紹介します。

「資産形成シミュレーション」では、給与所得を「投資」と「貯蓄」に分け、投資は景気敏感株、ディフェンシブ株の2つの投資先を用意して、ポートフォリオを組ませました。その後、1988年の好景気の時と1998年の不景気の時を材料にポートフォリオを組ませました。それぞれの設定で収益を計算させて、最後にもう一度、ポートフォリオを考えさせました。考えたポートフォリオとその理由を発表させることで、リスクは経済状態や個人の捉え方等によって変化すること、投資は自己責任で行うもので、経済情勢やリスク許容度により資産運用を考える必要があることなどにクラス全体で気づかせました。これらを踏まえて、「リスクとリターンに関係性はあるが、因果関係はないこと」、「ローリスク、ハイリターンは存在しないため、“うまい儲け話”にだまされないようにすること」をまとめました。生徒からは、「不景気の時の株式の恐ろしさを理解できた」、「投資をする際は、その時々の状況を確認することが大切だと感じた」といった感想がありました。

「お店屋さんごっこ」は、クラスを「お店屋さん」と「家計」に分け、「お店屋さん」は商品を生産・販売して利益をあげ、「家計」は消費活動を行いました。ねらいは、「個人」主体の金融教育から発展し、マクロ経済における「金融」の役割を理解させることです。この実践は、「お店屋さん」、「家計」と2つの主体が存在したため、双方に設定を理解させるのに時間がかかり、授業者1人では運用に限界がありました。計算が苦手な生徒も多く、スムーズなアクティビティの進行ができなかったという反省点もあります。一方で、生徒の授業に対する満足度は高く、「金融」について(内容は難しかったが)楽しく学べ、経済活動の中での金融の役割について学ぶことができた様子が見られました。

ワークショップ

ワークショップでは、学習面(学力面)で課題を抱える生徒に対して、どのような点に留意して金融教育を進めていくべきかを議論していただきました。参加者からは、「社会経験が少ない生徒に、具体的で現実的な内容を用意することで興味を持てたり、やる気がでたりするのではないか」、「抽象的な概念が苦手な生徒も多いので、見えないものをどう見せていくかが重要」、「家庭の協力も得ながら、実際に買い物やATMでお金について体験させるのも有効だと思う」などの意見が出されました。

コメント

青木隆一先生より、次のようなコメントがありました。

東京都にはエンカレッジスクールのほかに、チャレンジスクールなどがあり、生徒の実態、特性を踏まえて、特徴ある教育課程が編成されています。浅川先生は、エンカレッジスクールの立ち位置、生徒の実態を踏まえて、授業を組まれていると思いました。新しい学習指導要領でも大切な視点になっている、主体的・対話的で深い学びの視点から授業をされているのが印象的でした。

また、学習指導要領との結びつきも大切にされていました。高等学校と特別支援学校高等部の学習指導要領には同じことが書かれています。生徒の発達段階に応じた支援の中で、生徒が自己の将来との繋がりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要となる資質能力を身につけていくことが大切だと書かれています。

新しい学習指導要領は、高校卒業までに育む資質能力を大切にしています。この資質能力はいくつかに分類できます。各教科に応じて育む資質能力、教科を横断して育む資質能力です。浅川先生は、家庭科や情報科等との教科間連携による、多面的、重層的な観点から金融教育を実施していると報告されました。まさに学習指導要領で大切にしていることを、この場でも改めて強調していただけたと思いました。

高等学校分科会3の模様②

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