暮らしとおかねの身近な法律
1.暮らしとおかねの身近な法律(契約)Q&A
Q1-2.娘の買物を取り消したいのだが?<未成年者の法律行為>
19才の娘が、ブランド物の100万円のコートを親である私に黙って買いました。このコートを返し、支払った代金を取り戻したいのですが、できるでしょうか?
A1-2.できます。
未成年者は、親などの法定代理人の同意を得なければ原則として有効な法律行為(契約など)をすることができません(民法第5条)。これに反した行為は本人や親などが取り消すことができます(民法第120条)。取り消されると契約は初めから無効であったものとみなされるため、当事者は互いに原状回復義務を負い、販売業者は受取った代金を返還し、商品を買った人はその商品を返還することになります。但し、未成年者の場合は、返還の範囲が現存利益(現に利益を受けている限度)に限られます(民法第121条)。例えばコートにシミなどを付けてしまった場合でも、シミの付いたままでコートを返せば代金を全額返してもらえることになります。
民法第5条:[未成年者の法律行為]
(1)未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
(2)前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
民法第120条:[取消権者]
(1)行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
(2) 詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。
民法第121条:[取消しの効果]
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。