金融教育プログラム-社会の中で生きる力を育む授業とは-
(全面改訂版)
2.金融教育の目標と方法
(1)金融教育の目標
<3>金融教育の方法
ア.能力養成のための基本的視点
金融教育は知識を覚えることだけが目的ではなく、それを自分の生き方などにつなげていくことに大きな意味がある。そのためには、知識を覚えることとともに、考えること、働きかけることが重要である。もう少し具体的にいえば、「知る」、「考える」、「行動できる」という3つの要素が「意欲・関心」という内発的な誘因を通して有機的につながり合い、ステップを踏みながら総合化・高度化されていくことが必要である。ここでいう「知る」、「考える」、「行動できる」とは、以下のような内容を指している。
「知る」・・・・知識を得る、感じる、見る、聞くなど子供たちの中に第一次的に入ってくる情報を指す。
「考える」・・・第一次情報をもとに「なぜ?」という問いを発して課題を発見し、「どうしたらいい?」という問いとともに、主体的に調べる、話し合う、思考する、工夫する、解決の選択肢を提示するなどの諸ステップを指す。
「行動できる」・・「意思決定しなければ何も始まらない」ことを理解し、判断する、知識や経験を活用する、人や社会に働きかける、試す、法や制度を利用するなどの行動ができる力を付けることを指す。この中には行為に対する反応についてしっかり受け止めて、次の対応を考えることも含まれる。
イ.実践上の具体的な工夫
学校における金融教育を効果的に行う上では様々な工夫が必要であるが、主なポイントを挙げれば以下の通りである。
- <題材の選定>
- 教科等の学習で金融教育的内容を取り上げる場合は、子供たちが知識や課題を身近なものとして感じられるよう、子供たちにとって関心の高い題材(新聞の記事、折り込み、地域の話題、携帯電話、コンビニエンスストア、こづかいなど)を選んで教材化する工夫が必要である。
- <外部の情報や人材の活用>
- 上で述べた家庭や地域の協力に加え、関係機関や団体が提供する教材や講師派遣等の制度を活用することによって、専門知識の不足を補ったり、教材作成の負担を軽減しながら、効果的な授業を組み立てることが可能である。
- <体験的学習>
- 教科等の学習ではシミュレーションゲームや話し合い、ロールプレイなどを活用するほか、特別活動や総合的な学習の時間では、職場体験、模擬企業経営、ボランティア活動、学校行事の活用、買い物体験、外部講師による講演会、見学など様々な体験的学習を取り入れていくことが効果的である。
- <学校全体での取り組み>
- 金融教育は教科等の学習や総合的な学習の時間など幅広い授業で取り上げることができるが、それぞれの教科等で何をどのくらい教えるのかを明確にし、それを総合的な学習等につなげていくことが望ましい。したがって学校で金融教育の全体計画を立て、各教科間で協力して取り組むことが大切である。