豊かな老後生活を送るために
あなたに合った退職金の運用方法を考える
(退職金とiDeCoの受取り方法を考える)
コラム退職金とiDeCoの受取時には課税に注意
(退職金の受取り方)
退職金の受取り方は、「一括で受け取る方法」、「年金として分割で受け取る方法」、「その両方を組み合わせる方法」の3パターンが基本となります。
(所得控除の種類)
受取方法によって控除の種類が変わり、一括で受け取る際は退職所得控除が、分割して受け取る際は公的年金等控除が適用になります。
(iDeCo(老齢給付金)を受け取るタイミングを考える)
このうち、控除面で有利なのは退職所得控除ですが、iDeCoを利用している人は注意すべき点もあります。
会社からの退職金は60歳定年時に受け取る人がほとんどですが、退職金を一括で受け取り、同時にiDeCo(老齢給付金)を受け取ると、退職所得控除の旨味が薄れる可能性があるのです。
【図表5】は、退職金を2,000万円、iDeCoの老齢給付金を500万円受け取る際の課税額を3つのケースで表したものです。
※画面を横にするか、横にスクロールしてご覧ください。
ケース① | ケース② | ケース③ | |
---|---|---|---|
|
両方60歳でもらう | 退職金を60歳で、 iDeCoを65歳でもらう |
iDeCoを60歳で、 退職金を65歳でもらう (65歳で退職) |
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- ケース①~ケース③の例では各種人的控除や復興特別所得税を考慮しない。
60歳のとき
課税所得の計算
ケース① | ケース② | ケース③ | |
---|---|---|---|
所得金額 | 2,000万円+500万円 =2,500万円 |
2,000万円 | 500万円 |
退職所得控除 | 1,500万円 | 1,500万円 | 800万円 |
課税所得= (所得金額-退職所得控除)×1/2 |
1,000万円×1/2 =500万円 |
500万円×1/2 =250万円 |
0円 |
課税額
ケース① | ケース② | ケース③ | |
---|---|---|---|
所得税 | 57万2,500円 | 15万2,500円 | ─ |
住民税 | 50万円 | 25万円 | ─ |
課税計 | 107万2,500円 | 40万2,500円 | 0円 |
+
65歳のとき
課税所得の計算
ケース① | ケース② | ケース③ | |
---|---|---|---|
所得金額 | ─ | 500万円 | 2,000万円 |
退職所得控除 | ─ | 80万円 | 1,500万円 |
課税所得= (所得金額-退職所得控除)×1/2 |
─ | 420万円×1/2 =210万円 |
500万円×1/2 =250万円 |
課税額
ケース① | ケース② | ケース③ | |
---|---|---|---|
所得税 | ─ | 11万2,500円 | 15万2,500円 |
住民税 | ─ | 21万円 | 25万円 |
課税計 | ─ | 32万2,500円 | 40万2,500円 |
↓
課税合計額
ケース① | ケース② | ケース③ | |
---|---|---|---|
所得税計 | 57万2,500円 | 26万5,000円 | 15万2,500円 |
住民税計 | 50万円 | 46万円 | 25万円 |
課税合計 | 107万2,500円 | 72万5,000円 | 40万2,500円 |
60歳定年時にすべて一括で受け取るケース①の場合、退職所得控除の枠を超えてしまい、500万円分が課税されてしまいます。
それを避けるために、iDeCoの受取りを65歳にしたケース②の場合、ケース①と比べて課税額が多少緩和されます。
さらに、60歳時にiDeCoを受け取り、65歳時に退職金を受け取るケース③の場合には、それぞれに退職所得控除が適用できるため、課税額がもっとも少なくなります。
いずれにせよ、控除を考えれば退職金とiDeCoは60歳で同時に受け取らず、分けて受け取る方がメリットは大きくなります。