ビギナーズのためのファイナンス入門
第4講 消費者主権・消費者市民社会
Dialogue 4 消費生活センターへ電話
大輔「ネットで注文した商品が届かないんですけど。送金はしたんですが。」
相談員「それは通信販売ですか。」
大輔「いいえ、ネットオークションです。」
相談員「個人対個人の取引はこちらでは扱っていません。オークションを開いているサイトに事情を問い合わせてみてはどうでしょうか。」
大輔「えっ。そちらのセンターは消費者が困っているときサポートしてくれるところって聞いてたんですけど。」
相談員「センターをおぼえてくれていたことはとてもうれしいんです。でも、ここは商品やサービスを企業から購入したときに、品質が悪かったり、問題の解決が難しいときなど、消費者の立場で企業の方と交渉したりするのが仕事なのです。だから個人の方が個人の方と取り引きする場合にはかかわれないんですよ。わかりましたか。」
大輔「はい。じゃ自分で何とかしてみます。サイトに電話してみます。ありがとうございました。」
相談員「ネットでの買い物は慎重にした方がいいですよ。先払いの時は特にね。」
大輔「わかりました。」
Knowledge 4 増加する消費者からの苦情相談
消費生活センターには多数の相談が寄せられています。商品だけでなくサービス関連の苦情相談も目立っています。キャッチセールスやアポイントメントセールスなどの悪質商法は、1980年代以降、若者を主なターゲットに、多くの被害を与えてきました。
十分に商品内容を理解せずに購入したりして、被害に巻き込まれることもあります。金融関連商品の取引に伴う苦情相談も増えています(例:ファンド型投資商品)。また、インターネットを利用した電子商取引が活発になって、利便性(便利さ)のかげにある匿名性が新たな被害を生み出しています。
消費生活センターは全国に763ヶ所あり(2014年4月現在、消費者安全法に基づくもの)、消費者の苦情相談に応じています。私たち消費者は、問題に気づいたり、被害を受けたと思ったら、速やかに問題解決のために一歩踏み出すことが肝腎です。
米国にはコンプレインレター「苦情の手紙」という形式があり、その見本が教科書や消費者アクションハンドブックにのっています。問題に気づいた人は直ちに、(1)商品購入の事実や時、所、価格の明記、(2)問題点(トラブル)の所在、(3)希望する解決の方法(返品、返金、交換、修理など)、(4)対応の猶予期間の明示の4つのポイントをおさえた手紙をメーカーなどに出すよう勧めています。
消費者が進んで発信することは、より健全で豊かな社会を築く基礎なのです。社会に影響を与える消費者主権の社会(消費者市民社会)を実現するのは消費者自身です。
Skill 4
被害を受けたと思ったら、企業や業界団体へ商品やサービスに関する「苦情の手紙」を書いてみよう。