わが家の味方「生命保険」
7.加入例の診断
妻は医療保険に加入を
ケース(2) 結婚して間もない夫婦
昨年結婚したばかりの夫婦。共働きで、まだ子どもはいません。夫が定期付き終身保険に2つ、妻が定期付き終身保険にひとつ加入しています。
ケース(2) 結婚して間もない夫婦(宮城県)
こちらも、まず夫の保険から見てみましょう。ひとつは終身保険100万円に、定期保険特約1,900万円がつき計2,000万円の保障。定期特約は41歳で更新し56歳までとするプランです。1日5,000円の医療特約が付いています。もうひとつは終身保険120万円に880万円の定期保険特約がついて死亡保障1,000万円。定期特約は10年ごとの更新となっています。2つの保険合計で、終身保険220万円、定期特約部分2,780万円の計3,000万円の保障です。共働きで子どもがいない夫にとっては、十分すぎる保障額です(夫が亡くなっても、妻が働いているので、特に保険金をのこさなくても経済的に困ることはないと思われますので)。
しかし、夫婦の希望では、できれば今後、それも早いうちに子どもを2人か3人欲しいということです。出産後も妻は働き続ける予定ということですが、子どもの教育費として子ども1人あたり1,000~1,500万円の死亡保障は欲しいところですから、現在の保障3,000万円は、ちょうど妥当なところといえましょう。
ただし、これは妻が働き続けることを前提とした場合です。いい保育所が見つからなかった、生まれた子どもが病気がちだった、出産後、妻の回復が思わしくなかったなど、妻が働けなくなる可能性もあります。その場合は3,000万円の保障ではやや不足。1,000万円から2,000万円の保障を増やしたいですね。その場合は、現在の保険を転換するのではなく、あらたに掛け捨ての定期保険で手当てするのが、保険料も少なく合理的でしょう。勤め先の団体定期保険などがあれば利用するとよいでしょう。また、2本の保険を1本にした方がよいかということですが、その必要は特にありません。
問題は妻の保険です。夫の保障を大きく上回る4,000万円の定期付き終身に加入しています。ところが、これは本人の本意ではなかったとのこと。実は独身時代に親が掛けていてくれていた保険(種類不明)を、結婚後に姓の変更と、保険金受取人の変更(親から夫へ)をしたいと連絡したら、なんとその保険を、保険金額の大きな現在の保険に「転換」させられてしまったというのです。よくわからないまま、担当者に手続きをまかせたところそうなってしまったとのこと。とても悪質な担当者だと言わざるをえません。
働いているとはいえ、扶養者のいない女性に大きな死亡保障は必要ありません。現在の保険を1,000万円くらいに減額する方法もありますが、この信用できない担当者とはもうきっぱりと縁を切った方が無難です。解約してしまいましょう。そうすると、保障がまったく無くなってしまいますから、まず医療保障を手当てします。単品の医療保険に加入するといいでしょう。入院日額5,000円の保障なら月払い保険料2,000円前後からです(保障内容や期間による)。年齢が若いため、終身保障タイプの医療保険でも比較的安い保険料で加入できます。
死亡保障は、今は特に必要ありませんが、子どもが生まれたらやはり多少の保障は欲しいもの(母親が亡くなると、ベビーシッターや家政婦などの費用がかかることが多いので)。ただし、出産後も仕事を続けられるかはまだ不確定。今、保険料の高い保険に加入しても続けられるかどうかわかりません。仕事を続けられるめどがついてから加入するか、とりあえず掛け金月2,000円程度の共済か、通信販売の定期保険などを利用するといいでしょう。
子どもが生まれてからは、子どもの教育費のための貯蓄も必要になりますから、生命保険の保険料は、なるべく低く抑えておくことをお勧めします。
[まとめ]夫の保険は、子どもが生まれても十分な額。ただし、妻が専業主婦になる場合は保障の増額を。妻の保険は解約。あらたに医療保険に加入。死亡保障のための保険は、仕事を続けられるめどが付いてから加入する。