第60話 管理会社からの紹介を装ったり、点検を口実に売り込む！新生活を狙った悪質な訪問販売に注意

point1  一人暮らしを始めた若者を狙う悪質商法

入学や入社、転勤など新生活が始まる春は、引っ越し直後で何かと忙しい消費者を狙った悪質な訪問販売によるトラブルが増加します。とくに社会経験が少なく、契約に不慣れな若者がトラブルに巻き込まれるケースが多く、毎年全国の消費生活センターなどに多くのトラブル相談が寄せられています。

そして成年年齢引下げによって、18歳、19歳は未成年者契約の取消しができなくなったため、悪質業者のさらなる標的とされてしまう可能性が高く、注意が必要です。

point2  「皆さん契約しています」「管理会社からの紹介」など虚偽の勧誘トークに注意

新生活を狙った悪質業者による訪問販売の主な手口は、販売目的であることを隠して訪問し、虚偽の勧誘トークによって商品やサービスの契約をさせるというものです。さらに悪質な手口として、居座りや脅しなどで強引に契約を要求してくる場合もあります。近年多いトラブル事例を紹介します。

事例①

引っ越しをして間もなく、「管理会社の紹介で換気扇の使い方の説明に来た」と言って業者が突然訪問。換気扇の説明の後、フィルター2年分の購入を促された。「このマンションの居住者は皆契約している」と説明されたので、購入することが当たり前と思い、仕方なく契約した。その後、不審に思い管理会社に確認したところ、そのような業者は紹介していないと言われ、居住者皆が契約しているというのも嘘だった。

事例②

引っ越し直後、大手事業者の関連会社と名乗る業者が、水回りの点検と言って訪問。部屋に入ると浄水器の契約を勧めてきた。断っても勧誘をやめず帰ろうとしないため、仕方なく浄水器を購入。業者名を調べたら、大手事業者とは無関係だった。

事例③

引っ越し当日、「管理会社が開催した防カビ工事の説明会に参加していない人に工事の案内をしている」と業者が訪問してきた。「入居者は皆工事を行っている」、「荷物が少ない今のうちに工事を行った方がよい」といった業者の言葉を信じて契約し、翌日に防カビ工事が行われた。後日、気になって管理会社に問い合わせたところ、そのような説明会は開いていないと言われ、だまされたとわかった。

point3  訪問販売で契約した場合はクーリング・オフが可能

トラブル防止のポイントは、まず怪しいと思ったら部屋に入れないことです。訪問販売では最初に、会社名と氏名、販売目的を消費者に伝えないと違法行為になるため、点検などと言って訪問してきた業者に「営業ですか？」と聞くのも対策の一つです。また、管理会社の紹介などと言ってきたときは、名刺をもらって会社名や氏名を管理会社に確認しましょう。

部屋に入れて話を聞いてしまっても、その場で契約することは避けるべきです。引っ越し直後はやることが多くて忙しく、新しい生活に不慣れな時期でもあるため、冷静な判断ができなくなりがちです。業者の話に少しでも疑問を感じたら、「今は契約しません」とはっきり伝えることが大切です。業者に「帰ってください」と伝えても帰ろうとしない場合は、「警察を呼びます」と伝えるのも効果があるでしょう。

万一、契約をしてしまった場合でも、訪問販売の契約は特定商取引法の定める書面を受け取った日を含めて8日以内であれば、クーリング・オフ（無条件での契約解除）が可能です。クーリング・オフ期間内に工事が行われても、クーリング・オフをした場合は、無償で元に戻すように要求できます。トラブルになってしまったら１人で悩まずに、早急に消費者ホットライン188へ相談してください。