わたしはダマサレナイ!!
第50話 新型コロナウイルス感染症に便乗した詐欺&悪質商法の事例集
point1 詐欺や悪質商法は社会の不安や騒ぎに付け込む
新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)が、世界を震撼させた2020年。連日新型コロナ関連のニュースが流れ、今までの生活とは一変した不安な日々が続き、それに合わせるかのように、全国の消費生活センターなどには、新型コロナに便乗した詐欺や悪質商法に関する消費者相談が多く寄せられています。
詐欺や悪質業者にとって、世の中の騒ぎや不安は消費者を巧みにだます絶好のチャンスです。新型コロナでも、マスクや消毒液が不足すれば、そこに付け込んだ手口を使い、給付金が話題になれば、それを利用して忍び寄ってくるのです。新型コロナに便乗した詐欺や悪質商法には、「成りすまし詐欺」、「送り付け詐欺」、「フィッシング&悪質サイト」、「悪質セールス」、「投資詐欺」、「オレオレ詐欺」という主に六つの手口があり、どれも苦境や不安に付け込む手口です。今後も、自然災害や大きなイベントなど世の中を騒がす出来事が起きたとき、詐欺や悪質商法は便乗して消費者を狙ってくるでしょう。
今回は、新型コロナ関連に便乗したさまざまな手口をご紹介し、今後も発生するであろう詐欺や悪質商法に対して、注意喚起をします。
さまざまな手口の中でも、マスコミや警察が頻繁に注意喚起をしている手口が「成りすまし詐欺」です。とくに、新型コロナ感染拡大に伴い特別定額給付金のニュースが流れると、これに便乗し銀行や行政機関に成りすます消費者トラブルが急増しました。給付金の内容についてうろ覚えだったり、生活に不安を抱えた高齢者など、実際にだまされて被害にあってしまった人も少なくありません。
point2 行政機関などに成りすまして個人情報やお金をだまし取る
具体的には総務省や市区町村などの行政機関、その代理業者などを名乗り、「マスクが足りていなければ送ります」、「新型コロナ感染防止の資料を送りましたが届いていますか?」と言うような電話をかけてきます。それに受け答えしていると、「必要な情報なので」、「確認したいので」などと言って、住所や家族構成、金融機関の口座番号や暗証番号、マイナンバーなどの個人情報を搾取したり、お金をだまし取ろうとするのです。
給付金関連の手口も同じように、総務省や地方自治体の新型コロナ対策本部というような、給付金担当をイメージさせる行政機関あるいはその代理業者に成りすまし、電話やメールで個人情報を搾取したり、「代理申請の手数料」などの名目でお金をだまし取ろうとします。給付金関連の成りすましケースについて、いくつかご紹介します。
- 総務省の代理業者を名乗る者から電話があり、「マイナンバーカードを持っていないと、給付金受給の手続きが複雑で受給時期も遅くなる」、「国から申請事務を請け負っているので、手数料を支払ってもらえれば代理申請を行う。そうすれば、手続き不要ですぐに受給できる」と言われた。
- 市役所の担当者と名乗る者から「高齢者には特別な給付金が出ることになった」と電話で言われ、住所や名前、生年月日、銀行の口座番号や暗証番号を聞かれた。
- スマートフォンに新型コロナ対策本部という送信者から「特別定額給付金の申請はこちら」のメールが届いた。添付されたURLにアクセスすると、金融機関の口座番号などの個人情報の入力を求められた。
- 「市民給付金窓口」という送信者名で、スマートフォンに届いた「給付金に関する大切なお知らせ」のメールを開封すると、「給付金を受取る方は、データ処理の手続き代として3万円をお支払いください」とあった。
- 市役所を名乗る女性の自動音声ガイダンスで、「新型コロナの流行で給付金が出ます。案内に従ってください」という一方的な電話がきた。
point3 行政機関が電話でマイナンバーなど個人情報を聞くことはない!
こうした成りすまし詐欺による消費者トラブルにあわないためには、その手口を見破るための知識を身に付けることがとても大切です。具体的には、以下のようなことを行政機関が行うことは、決してありません。
- 金融機関の口座番号や暗証番号、マイナンバーを電話で聞き出す。
- 通帳やキャッシュカード、マイナンバーカードを自宅に受取りに行く。
- ATMや電子マネーを指定してお金を振り込ませる。
- 給付金受給のために手数料を求める。
- メールを送り、URLをクリックさせて給付金の申請手続きを求める。
このような電話やメールがきて、少しでもおかしいと感じたら、電話なら行政機関名を確認してすぐ電話を切り、メールなら無視してください。ひと呼吸おいて落ち着いたら、家族や信頼できる友人に相談するのもよいでしょう。電話先から伝えられる連絡先は、悪質業者の仲間であることも多いので、行政機関に確認の連絡をする場合は、その行政機関の公式WEBサイトなどで正しい連絡先を自分で調べるようにしましょう。消費者ホットライン(188番)では、適切なアドバイスや情報を教えてくれます。トラブルが起きたときはもちろんのこと、「怪しいな?」と思ったり不安に感じたときは、すぐに188番へ連絡することをお勧めします。
次に、ほかの五つの手口をご紹介します。
point4 まだまだある!新型コロナ関連の五つの手口
手口①送り付け詐欺
マスクなど新型コロナによって品不足になった商品を勝手に送り付けて、高額な代金を請求します。対策は、覚えのない商品は受け取らないことです。受け取ってしまっても、一方的に送り付けてきただけでは、契約は成立しませんので、代金の支払いや返送の義務もありません。商品は送った業者の所有物でありますが、商品が届いてから14日間経過したら、自由に処分して構わないと特定商取引法で定められています。取扱いに迷った場合には、消費者ホットライン(188番)などに相談することをお勧めします。
手口②フィッシング&悪質サイト
新型コロナの影響で入手困難な商品を、「緊急入荷」などとWEB広告やメールで告知して、通販サイトへ呼び込みます。そのサイトで購入しても商品は届かず、入力した情報やお金をだまし取られるという手口です。怪しいWEB広告やメールは無視しましょう。ただし、手口は巧妙であるため、そのサイトがフィッシング&悪質サイトかをひと目で判別することは難しい場合もあります。パスワードなど重要な情報を入力するページのURLに鍵マーク()が表示されているかなど、成りすましなどを防ぐSSL暗号化通信の使用を確認することをお勧めします。
手口③悪質セールス
新型コロナに対する感染防止効果をうたい、景品表示法および健康増進法に違反する恐れが高いとされた商品が大量に出回り、販売業者などが消費者庁から表示改善要請を受けています。このように、偽りや根拠のないセールストークで、高額な商品やサービスを売りつけるのです。怪しい勧誘やセールストークには耳を貸さず、セールスを受けても不審な点を少しでも感じたら、その場で断わることが大切です。
手口④投資詐欺
著名な製薬会社名で「新型コロナのワクチンを開発」、「社債発行中」などの書類が入った封書が届き、後日、社債購入代金を請求されます。覚えのない話には耳を貸さず、お金を請求されてもきっぱり断ることが、最も効果的な対策となります。
手口⑤オレオレ詐欺
お金が必要な理由を新型コロナに関連付けて、信用性を高めようとするオレオレ詐欺が報告されています。まずは、相手が本人なのか確かめることが大切です。怪しければ電話を一度切り、予め自分が承知している電話番号に改めてかけ直し、本人に連絡をとって確認しましょう。
point5 だましの手口のパターンを知って消費者トラブルを避ける
このように詐欺&悪質業者は、さまざまな手口でだまそうとしますが、実は、どの手口も目新しいものではありません。従来からある手口で「だます口実」を変えているだけ、というケースが多いのです。こうした手口を認知することで、だましや消費者トラブルを避けられる可能性が高くなります。
そして、少しでも不安を感じたり怪しいと思ったら、周りの人に相談したり、トラブルが起きる前に消費者ホットライン(188番)に相談することが大切です。
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関連サイト
「新型コロナウイルス感染症に便乗した詐欺&悪質商法の事例集」に関連する情報として、以下もご覧ください。
- 新型コロナ関連消費者向け情報
(消費者庁HPへリンク) - これまでに寄せられた新型コロナウイルスを口実にした消費者トラブル
(国民生活センターHPへリンク)
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「わたしはダマサレナイ!!」のほかにもお役立ち連載がいっぱいです。