第53話 「簡単に稼げる」、「返金保証」などのおいしい話で勧誘！
転売ビジネスの契約トラブルが急増中

point1  コロナ禍の影響でトラブル増加　トラブル相談の約半数は20歳代

転売ビジネスは、店舗や通販サイトなどで商品を安く仕入れ、フリマサイトなどの販売サイトで仕入れ金額より高く販売することで利益を得ます。働き方改革による副業探しやコロナ禍の影響による収入減で、転売ビジネスを始める人が増えているようです。それに伴い、転売ビジネスのノウハウやサポートを提供する悪質事業者の広告がネット上に頻出し、契約トラブルが急増しています。

全国の消費生活センターなどに寄せられた「転売ビジネスに関する相談件数」は、2020年度の前年同期比（12月末まで）で1.3倍以上に増加しています。とくに、20歳代の相談者が約45％と非常に多いのが特徴です。

point2  「誰でも簡単に稼げる」といった話で情報商材や高額な契約を勧誘

トラブル相談内容の多くは、「誰でも簡単に稼げる」といった事業者の話にのってしまい、情報商材を購入したり高額なビジネス契約をしたが、事業者の話どおりに稼ぐことができず、解約や返金にも応じてもらえないというものです。だます手口はさまざまですが、消費者がトラブルに巻き込まれる流れの一例を紹介します。

• きっかけはネット検索やネット広告
  「副業」、「転売ビジネス」といったキーワード検索でヒットする事業者の広告サイトや、動画サイトのネット広告で、「時間も労力もかからず、誰でも簡単に高収入を得られる」といった甘い言葉で消費者に興味を持たせます。そのうえで、「お得な情報がもらえます」などと、消費者のメッセージアプリに事業者を登録させます。
• 情報商材の購入や無料セミナーに勧誘
  事業者はメッセージアプリを使って、転売ビジネスのノウハウが書かれている情報商材の購入が必要と言ってきたり、事業者が主催する無料のセミナーに勧誘したりします。情報商材やセミナーの内容は、転売ビジネス市場の魅力や成功談ばかりで、ビジネスに役立つ具体的なノウハウは教えてくれません。そして事業者は、専門家のサポートを受けられる複数の価格帯のプランを持ちかけ、「詳しく知りたい人は電話サポートを予約ください」とメッセージを送ってきます。
• 返金保証を餌に高額なプランの契約を迫る
  消費者が電話サポートを予約すると、事業者は「稼いでる人は皆さん、●十万以上のプランに入っています」、「低額のプランでは必ず稼げるという保証はできません」などと言って高額なプランを勧めてきます。さらに「●十万以上のプランなら、万一稼げなかったときに返金保証があります」と言われ、高額なプランを契約してしまいます。
• 話どおりに稼げず適切なサポートもなし
  消費者は転売ビジネスを始めるも、「事業者から紹介された仕入れサイトに売れそうな商品がない」、「事業者から説明された転売方法が販売サイトの規約違反に当たり、アカウントを停止された」などのトラブルが発生し、事業者の話どおりに稼ぐことができません。事業者にサポートを求めても、「売れる商品を選んでください」などと当たり前のことしか言われません。
• 解約や返金保証に応じてもらえない
  消費者が事業者に、「話が違う」と解約や返金保証を求めても、事業者は「個人事業主が行うビジネス形態だからクーリング・オフの適用外」と言って解約を拒否したり、返金保証も「商品が一つも売れなかった場合」や「仕入れサイトで規定金額以上を仕入れている場合」などと条件を突きつけて、応じないケースが多くあります。また、事業者と連絡が取れなくなる悪質なケースも報告されています。

point3  「おいしい話＋高額な契約」は要注意　転売方法や商品に問題があることも

こうしたトラブルを防止するためには、事業者のおいしい話をうのみにしないことがなにより大切です。転売ビジネスには、商品を仕入れる資金はもちろん、販売サイトへ支払う販売手数料、商品を顧客に送る送料などが必要となります。そうしたコストや売れなかった場合のリスクについての説明をしないで、「月に●●万円以上稼げます」というような話ばかりをして、高額な契約を勧誘してくる事業者は要注意です。返金保証があると言われても安心せず、具体的な条件や記載箇所をしっかり確認しましょう。

また、事業者から説明された転売方法が無在庫販売など、販売サイトで規制されている方法だったり、事業者の指定する仕入れ商品が転売が禁止されているチケットや許可の必要な中古品だった、というケースも多くあり、注意が必要です。

トラブルにあってしまったときは、特定商取引法や消費者契約法などによりクーリング・オフや契約の取消しができる場合もあるので、早めに消費者ホットラインや最寄りの警察へ相談しましょう。